地獄の使者
2011年 05月 20日
交通巡査が疾走している車を路肩に引き寄せて、運転していた男に伝えた。
「80マイルで走ってますよ」
「まさか、お巡りさん、60マイルに設定して走ってたんですよ。お巡りさんのスピードガンを較正したほうがいいんじゃないの」と男が反発した。
すると、助手席で編み物をしている妻が顔も上げないでつぶやいた。
「あなた、バカなことを言わないで。スピード設定装置なんか付いてないでしょ」
巡査が切符をきっている間に、夫は妻に向かって、ちょっと黙っていなさいと怒鳴りつけた。
妻は笑顔を浮かべながらおとなしく言った。
「あなた、うちのレーダー探知器が壊れていることを有難く思わなくちゃ」
違法レーダー探知器の装着に対して、巡査が2枚目の切符をきっていると、
夫は妻をにらみつけ、ギリギリと歯を食いしばるようにして叱責した。
「ちくしょう、お前は口をきくな」
再び巡査が難しい顔をして言った。
「お宅さん、シートベルトを締めていませんね。75ドルの罰金です」
すると男が言いわけをした。
「あのねえ、お巡りさん、あんたに引き止められたんで、お尻のポケットから免許証を取り出すためにベルトを外したんです」
妻がまた口をはさんだ。
「あら、シートベルトなんかしてなかったでしょ。シートベルトはしたことないくせに」
交通巡査が3枚目の反則切符を書き込んでいるときに、夫は妻に大声で怒鳴った。
「お前はどうして黙っていられないんだ」
巡査が妻を見ながら尋ねた。
「奥様、ご主人がお話しするときはいつもこんな風なんですか」
「いいえ、お酒を飲んでいるときだけです」
by katoliinu
| 2011-05-20 23:44
| 小話